長引く不況や国際競争の激化を受け、多くの業界でコストカットを目的としたアウトソーシングが進んでいますが、航空・旅行業界も例外ではありません。
まず、経営の分社化として、海外の特定地域の旅行商品の企画造成や仕入れ、販売促進などを一貫して担当する会社や、格安の国際線 航空券の卸・小売販売を専門に行う子会社などを作る方法です。
次に、経営管理部門におけるアウトソーシングで、人材派遣会社からの派遣社員を受け入れるような形で行われます。さらに、旅行業務の中で特に専門スキルを持った集団にアウトソーシングする方法で、添乗業務や観光ガイド、通訳などがあります。
添乗員派遣会社などで構成されるTCSA(日本添乗サービス協会)によれば、現在加盟している会社数は約60者で、1万2000人が派遣添乗員として登録していますが、国内外で行われている旅行添乗業務の9割に、派遣会社の添乗員が同行しています。
以前の旅行業界は大量に正社員を雇用して、拡大する需要に対応してきましたが、繁忙期と閑散期の差が大きいため常時雇用は効率が割るということから、1980年代の後半から添乗員の派遣サービスを利用することが多くなり、多くの派遣会社が誕生しました。
旅行添乗員の収入は、なかなか安定しないものの、年収の大半を繁忙期の6ヶ月くらいで稼げるため、残りの時期は別の業界で仕事をこなしたり、通訳をかねることで単価を上げるなどしながら対応しています。
ガイドの仕事は2種類あり、1つはツアーオペレーターとして、海外旅行をする日本人を現地で案内するガイドです。もう一つは、日本を訪問する外国人旅行者を案内するガイドで、国家試験の通訳案内業の試験に合格し、都道府県知事の免許を受けなければなりませんが、ガイド不足が予想されることから、試験内容を見直し、合格率を緩和することが検討されています。